2014年8月3日 エペソ人への手紙 -忠実な奉仕者-

あなたがたにも私の様子や、私が何をしているかなどを知っていただくために、主にあって愛する兄弟であり、忠実な奉仕者であるテキコが、一部始終を知らせるでしょう。
エペソ6:21


講解説教No.46
エペソ6章21-22節


 テキコという人がパウロの書いたこの手紙(エペソ人への手紙)を託され、エペソへ派遣されました。その目的は二つ、①エペソの兄姉たちが心に励ましを受けるため、②エペソの兄姉たちがパウロの様子を知るためです。テキコは、パウロの第三次伝道旅行のときに同行したひとりです。そのときには貧しいエルサレム教会への献金を携えて行きました。彼は「主にあって愛する兄弟」と呼ばれ、また「忠実な奉仕者」と呼ばれました。「奉仕者」という言葉はパウロやテモテといった伝道者や執事に使われています。コロサイ人への手紙4章7節では「同労のしもべであるテキコ」とパウロは紹介しています。とすると、テキコは特別な働き人である伝道者であることがわかります。エペソ4章で学びましたが、伝道者とは、教会を建て上げ、福音を伝えて行く働きを進めるために、キリストが教会にお与えになった人のことです(4:11,12)。そのための伝道者の仕事はみことばの奉仕です。そのテキコがエペソの兄姉たちの心を励ます励まし方は、会って激励するでも、パウロの無事を伝えるのでもありません。説教によって心を励ますのです。説教は心を励まし慰めるものです。テキコは出来たてホヤホヤの聖書の一つの書簡、エペソ人への手紙を持っていきます。そのパウロの記した真意である神のことばそのものの真意を説教するのです。説教による励ましが、ほかと違うのは、罪の指摘を含む心への励まし慰めであるということです。そうではない他の励ましは自分本位で一時的です。手紙の中にはしっかりと兄姉への罪の指摘が記されています(4:25-32)。テキコ派遣のもう一つの目的は、諸教会がパウロの様子を知るためです。これはパウロが心配されたり、捕われている状況をわかってもらうためのもではありません。主にある交わりのためです。ローマで自由に動くことを許されていないパウロにとって「知られる」ことだけが、周囲の兄姉たちと、許されるただ一つの交わりの手段だったのです。このわずかな交わりで、神の全能の力をほめたたえることができたのです。犯罪者のようにつながれているパウロを知る以上に、神のことばがつながれていない(Ⅱテモテ2:9)ことを互いに知るからです。