2017年3月26日 ルカの福音書 -恐れず、身を起こせ-

これらのことが起こり始めたなら、からだをまっすぐにし、頭を上に上げなさい。贖いが近づいたのです。
ルカ21:28


講解説教No.109
ルカ21章20節~28節

世の終わりの苦難のとき、イエスは「逃げなさい」と指示しています(21)。預言の一つであるエルサレム滅亡のとき、神殿から逃げなさいと教えられました。ユダヤ人にとって神殿は神の臨在と守りの場所ですから逃げるなどとんでもないという考えです。いくら聖地とはいえ必ず崩れます。そこにしがみついていては駄目なのです。本格的に終末を迎える私たちも、自分のうちにしがみついて離さないものがないか注意すべきです。ロトの妻は逃げたにもかかわらず、滅びゆくソドムの町を惜しんで振り返りました。決して振り向いてはいけないと神の指示があったにもかかわらずです。神の指示以上に執着しているものがないですか?終末の苦難の中で本当に見つめるべきものはイエスキリストの再臨です(27)。このキリストを見つめることが、今の世を生きる私たちにとってどのような意味を持つかを考えなければなりません。キリストは力を帯びて来られます。人として来られた時の弱さは全く見られません。神としての力は救われる者と滅びる者とを分ける(さばく)力です。キリストは再臨し全世界の最後の審判を行い、それによって世界は終わるのです。救いにあずかっている人たちは、世界を終わらせる方によって、その救いが完成します。罪の弱さを担いながら、苦しみ、悲しみ、痛み、そして死と…そういったすべてのことから完全に解放されるのです。これらのことのゆえに、私たちは「からだをまっすぐにし、頭を上に上げる」ことができるのです。終末の苦難が訪れていない今でもうつむいている人がいるならば、なおさらのことこのイエスの教えのとおりを行うべきです。苦しみや不安に対するこれまでの対処を止めて、イエスによる終わりを見つめましょう。