2021年9月26日 説教テーマ「この福音」

この福音は、神がその預言者たちを通して、聖書において前から約束されたもので、 ローマ1:2  パウロがローマ人への手紙を書いた理由の一つは、「福音」にはじまる聖書の教理を正しく教えるためです。パウロはまだローマに行ったことがないにもかかわらず、恐らく迫害で離散したユダヤ人クリスチャンたちがローマで生活しているうちに、キリスト信仰が広まって行ったと考えられます。使徒18章2節に登場するアクラとプリスキラ夫婦はそのひとりです。ローマにある諸教会はパウロが設立していません。コリントをはじめ、他の諸教会(コロサイ、ピリピ、テサロニケなど)はパウロの設立です。そうすると、ローマ諸教会においてはパウロが直接教えていないということになります。問題だらけのコリント教会を、愛をもってかかわり、教えたような関係はないのです。「世界のローマ」の本拠地には、世界のあらゆる考え方、思想、或いは情報が渦巻いています。その中でクリスチャンとして生きていくときに、生きる指針である聖書の正しい教えがないと、どのように生きてよいかわからなくなります。今の私たちも同じ状況にあります。それがこの手紙が書かれた理由の一つです。第二の理由は、パウロがローマを拠点として、今後の宣教を展開していくためです。「…ローマでもあかしをしなければなりません」(使徒23:11)とは主の仰せられたことで、ローマは主のみこころです。宣教の拠点とするのですから、第一の理由のローマのクリスチャンたちの信仰を強める教育はなおさら必要なのです。 さて、手紙の冒頭7節までが挨拶部分となっているのですが、「この福音」についての教えを突っ込んで来ています(2―6節)。教える熱意が伝わってきます。福音とは御子に関することです。それが聖書において前から約束されたものだと説明しています。「前から」すなわち、御子に関して、旧約聖書の中で神が約束されていたということです。私たちが御子に関する福音を理解するためには、旧約聖書も正しく理解する必要があるということです。「聖書において」約束されたものとは、「モーセおよびすべての預言者から始めて、聖書全体の中で、ご自分について書いてある事がらを彼らに解き明かされた」(ルカ24:47)とイエスが述べておられるように、旧約聖書を含む聖書全体が、イエスについての証言であるということです。異質な思想、情報が渦巻く中に生きている者として、福音とは、御子とは、確かなものを会得しましょう。