2013年5月5日 使徒の働き-神のことばは妨げられない-

こうしてパウロは満二年の間、自費で借りた家に住み、たずねて来る人たちをみな迎えて、大胆に、少しも妨げられることなく、神の国を宣べ伝え、主イエス・キリストのことを教えた。
              

使徒28:30、31

講解説教No.84
使徒の働き28章16-31節

 上記のみことばに見る福音の進展は、使徒の働き全体の結論部分です。「聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、および地の果てにまで、わたしの証人となります」(1:8)というイエスの宣言通り、救いの福音はローマという地の果てにまで広がって行きました。この福音の広がりはローマでとどまることなく今なお教会を通して広がり続けています。

 ローマでパウロはまずユダヤ人に語りました。その結果は一部の信じる者と信じようとしない人と別れました。かたくななユダヤ人たちを聖書のみことばを引用して示すなど(26,27)快くない終わり方でした。しかし聖書が伝えようとしていることは福音を聞いた人のそういった反応ではなく、パウロの行ったことです。彼は囚人であるにもかかわらず、「神の国のことをあかしし、また、…イエスのことについて彼らを説得しようと」しました。しかも「朝から晩まで語り続けた」(23)のです。そのようなパウロの行っている福音を宣べ伝えることの総括的な働きを示すものとして、「大胆に、少しも妨げられることなく、神の国を宣べ伝え、主イエスキリストのことを教えた」と書かれているのです。パウロがまだローマに到着する前、ローマの兄姉に宛てた手紙の中で「何度もあなたがたのところに行こうとしたのですが、今なお妨げられているのです」(ローマ1:13)と書いていました。原因として、迫害、本人の体調、時に「サタンが私たちを妨げました」(Ⅰテサロニケ2:18)とも。事実パウロ自身は妨げられていたのです。しかし今彼は誰も考えつかない方法で、囚人としてローマにいます。不自由な立場の囚人が大胆にも福音を語っているのです。語る者が妨げられても語られることばは決して妨げられません。