2020年1月12日 コリント人への手紙第一 -愛は人の徳を建てるー

次に、偶像にささげた肉についてですが、私たちはみな知識を持っているということなら、わかっています。しかし、知識は人を高ぶらせ、愛は人の徳を建てます。
Ⅰコリント8:1


講解説教№35
Ⅰコリント8章1-3

 コリント教会には、町で売っている偶像にささげた肉を、どのように扱ったらよいか戸惑っている信仰の弱い人たちがいました。一方で「神は唯一、偶像の神は偽物」と聖書の正しい知識を持っている人たちがいました。後者が前者を「それはクリスチャンとしてどうなの?」と問題視していたのです。しかしパウロが問題視していたのは、後者の正しい知識を持っている人たちのことです。そこに「知識は人を高ぶらせる」という根本的な問題を見ています。その解決として「愛は人の徳を建てる」ことを教えているのです。知識か愛かの二者択一ではなく、愛を伴った正しい知識が必要です。愛の中で知識が用いられます。そこでパウロは、自分が何かを知っているということの他に、知らなければならない重要なことがあると教えます(2,3節)。神を愛することです。と言っても、まず神が私たちを知り、私たちを愛してくださったという事実が先にあります。これなくして、神を知ることも、愛することも出来ません。私たちが本当に知らなければならないことは、そのことです(Ⅰヨハネ4:10)。一番大切なことは、自分が何を知っているということではありません。神が私を知っていてくださり、愛してくださることです。そこに救いと平安があります。知識が人を高ぶらせるものではなく、愛を伴って働くものとなることが実現するのも、真に知らなければならない「まず神が愛してくださった」ことによるのです。私たちの拠り所が聖書の知識ではなく、神に愛されていることが拠り所となる時、人と比べて高ぶったり、「教える」と言って知識を振りかざすような思いから解放されます。兄弟姉妹を見る目が変わります。相手がどうであれ、相手の徳の建つ見方、考え方、かかわり方をするようになります。教会に起こった問題を通して、問題そのものの対処ではなく、教会を大切にします。そこにいる神の人たちを大切にするようになります。