2016年5月22日 ルカの福音書 -無力さからの解放-

そこで、イエスはこう言われた。「神の国は、何に似ているでしょう。何に比べたらよいでしょう。 それは、からし種のようなものです。それを取って庭に蒔いたところ、生長して木になり、空の鳥が枝に巣を作りました。」。
ルカ13:18、19


講解説教No.76
ルカ13章10-21節 

 18年もの病気だった人をイエスはいやされました。そのいやし方に注目してください。「手を置かれると」というのは良くあるいやしのパターンですが、その前に「あなたの病気はいやされました。」という宣言は何か不自然というか不思議です。直訳が「あなたはあなたの病気から解放されました」となります。この時、イエスは会堂で神のことばを教えておられました。イエスのメッセージには原則があります。それはイエスが宣教を開始されたときの最初のメッセージで語られています(ルカ4:16-21)。イザヤ61章がその原則です。貧しい人々に福音を伝えること、捕われ人には赦免、盲人には目が開かれることしいたげられている人を自由に。この良き知らせを伝え実現されるためにイエスは来られたのです。それを今回の場合もお語りになっていたと考えると、その教えの実例として会堂にいた病気の人をいやされることで人々に解放の福音を迫ったのです。私たちもイエスの宣言を聞いています。イエスが私たちの罪をその身に負われ、十字架で死なれたこと、死者の中からよみがえられたことによって罪と死から解放されたのです。18節以降にたとえ話が続きます。「からし種、パン種」というちっぽけなものが何か?ということがこれらの文脈から大切になります。それはイエスの解放の宣言です。今はちっぽけですが一度蒔かれたら生長して木になり鳥が巣を作るほどになる…イエスの宣言はパン種のようなものです。私たちの生活の悩み、困難、無力さ、罪はイエスの解放宣言よりもはるかに大きくて強いように思えてしまいます。けれども、イエスの解放の宣言は私たちの生活にやがて大きな力を発揮し、その全体を変えていくのです。それは私自身に、隣人との関係に絶大な影響を与え、素晴らしく変えられるのです。