2017年12月31日 ペテロの手紙第一 -より頼んでいる人、より頼んでいない人-

したがって、より頼んでいるあなたがたには尊いものですが、より頼んでいない人々にとっては、「家を建てる者たちが捨てた石、それが礎の石となった」のであって、「つまずきの石、妨げの岩」なのです・・・。
Ⅰペテロ2:7,8


講解説教No.10
Ⅰペテロ2章7、8節

 これまで励ましと希望を語って来たペテロでしたが、ここにきて、御国の民としての歩みを大きく阻む壁があることを語り始めました。6-8節にかけて旧約聖書のことばを引用し、その当時のイスラエルの信仰を意識しながら語っています。イザヤ28章には神から目をそむけ、欲望のままに歩んで霊的にぼけてしまっている北イスラエルのことが語られています。南ユダ王国についても欲と汚れによろめいている様子が語られています。互いにふらついている信仰状態にもかかわらず、南が北を物笑いの種にしてあざけっています。そのような民に対して神は礎の石、試みの石を置かれたのです(イザヤ28:16)。しかし彼らはなおも神に聞かず信頼を置きませんでした。ペテロは、神をどかして自分の知恵や力だけで現状を乗り越えようとする姿を示し、読者にそうなってはならないと警告をしています。置かれた礎の石、キリストにさえ信頼を置いていれば、他に何もなくても大丈夫と勧めます。しかし神のみことばを受け入れようとしなくなった人たちは、神のお心を考えなくなり、自分の思いに従って歩むため、キリストにつまずき、妨げられたと思うようになりました。形としては信仰者ですが、その心の思いは自分のみを信じる生き方で、神のお心は煩わしくさえ思うようになってしまいました。自分の願い通りにしてくださらない神を嫌います。かといって信仰を捨てるのではありません。その人は依然祈るし、礼拝もささげます。ただその人の求める神は自分の願い通りをしてくれる神を求めます。ここからの脱出の道に即効薬はありません。地道に自分が新しく生まれ、永遠を受け継ぐ立場を確認することです。そのために主のみことばを慕い求めてください。また霊の家である教会に自分を築き上げ続けてください。あなたにとってそれらの優先順位が低くても神にとっては最優先です。