2015年3月29日 ルカの福音書 -あなたの敵を愛しなさい-

しかし、いま聞いているあなたがたに、わたしはこう言います。あなたの敵を愛しなさい。あなたを憎む者に善を行ないなさい。
ルカ6:27


講解説教No.25
ルカ6章27-36節

「あなたの敵を愛しなさい」これほどに高い水準の教えはないかもしれません。あまりに高いので受け取る側は理想論としておさめて、現実と切り離している人もいるのではないでしょうか?しかしイエスはこれを実際に行うことを求めておられます。「…ほかの頬をも向けなさい」(29節)とは、仕返しできる当然の権利があったとしても、その権利を使わず、侮辱されても報復しないこととして、愛することを教えています。「上着を奪い取る者には…」不当な裁判で賠償を求められた場合、律法で取ることがないと保証されている上着さえも与えるように勧めておられます。「求める者には与えなさい…」はお金に関することで、利己的な心や出し惜しみするような愛のない生き方に警告を発しておられます。「自分を愛した者を愛したからといって、あなたがたに何の良いところが?」実に厳しいことが要求されています。これは要するに、イエスが敵を愛することを、口や理想としてではなく、実行することを求めておられるということです。改めてイエスは「ただ、自分の敵を愛しなさい」と、重要なのはそのあと、「・・・そうすれば…いと高き方の子どもになれます」と(35節)敵を愛することが救われる条件ではありません。そうであったらだれも神の子どもになれません。これは敵を愛した結果、神の子どもであることのしるしと見なされるということです。父なる神に似る神の子どもは、その性質も似ます。神の愛にも似るということです。努力して似るものではありません。努力で似ることは不可能です。そうであるからこそ、クリスチャンが与えられているご聖霊の働きによって人を愛するとき、神のこどもとしてのしるしがはっきりするのです。この教えはとりわけ、イエスの見つめる先の弟子たちに向けられました。報復こそ賞賛するこの世の人たちに、この教えを実践するためです。彼らは困惑するでしょう。私たちのうちに見るイエスの愛に立ち向かえる人など誰もいないからです。キリストの愛で彼らを支配することができますように。